「僕のことを好き」と彼はやっとのことでつっかえ乍ら口にした。
「ええ、あたしあなたのことがとっても好き。大好きよ。ねえハリー、キスしてくれない?」そして彼女は彼の首に腕を回した、その醜い、顔色の悪い学童っぽの首に。彼の目の下の鉛色の染みがもっと暗くなった様に見えた。
彼は片腕に抱えていた包みを落っことした。それは毀れて開き、中のものが地面に落ちた。三つか四つ、幻想的な道具があった。緑の瓶ガラスから作った、不器用に木の握りが付けられた小さなナイフ。彼はこの目的の為に金雀枝
を盗んでおいていた。それから直線状の絞め縄に合わせた、幾らかの長さのロープがあった。それが彼が長いこと温めていた思い付きであった。
だが彼は草の上に身を投げ出してわっと泣き出した———この「泣き虫馬鹿」。