*クエーカー教徒のこと。僧侶の類いを持たず、平日は職業人として働く。活動は無償の善意に基づく。
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「『最後の、そして最初の人類』や『スターメイカ−』は最早、SFの妥当な限界を遥かに超えた高みにある。或いは寧ろ、ステープルドンは偉大なる古典の見本であり、科学的概念の巨大な存在論的叙事散文詩への転換を寸分の隙もなく完璧に成し遂げた、究極のSF作家であると言うべきかも知れない………(中略)………。
イギリス文学の保存処理に努めている棺桶職人や葬儀屋共が、何故ステープルドンを批評と云う名の呪文の対象から完全に排除しているのか、これは全くどんな推測も正気では立ち向かえない問題である………(中略)………『スターメイカー』は、まさしくSFの偉大で円熟した聖典のひとつである———恐らく結局は、その素晴らしい無名さと無視の中にこそ、そう呼ばれるに相応しい何かがあるのだろう」 |
*ブライアン・オールディス『十億年の宴』(朝倉久志、酒匂真理子、小隅黎、深町眞理子訳。東京創元社、1980) **倫理学や社会思想等の分野に於ける彼の業績は今日殆ど知られていない。どの哲学辞典や哲学史を繙いてみても、「ステープルドン」の名前は出て来ないだろう。死後、哲学者、社会運動家としての彼の名声は急速に衰えた。が、彼がその困難な時代にあって人間の在り方を必死で模索した思想家のひとりであると云う事実は記憶しておいて然るべきである。彼のフィクション作品を理解するに当って、ノンフィクション作品の存在を念頭に置いておくことは決して無駄ではない。 ***サミュエル・リリー『人類と機械の歴史 増補版』(伊藤新一、小林秋男、鎮目恭夫訳。岩波書店、1968)を参照。 |
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