「ステープルドンの文学的想像力は、殆ど無限大である」
———ホルヘ・ルイス・ボルヘス 「14才の少年の頃に読んだ時、この本は文字通り私の人生を変えてしまった。これまで何度も認めてきた様に、後の私の作品の多くは、ステープルドンのヴィジョン達によって形作られた」 ———アーサー・C ・クラーク 「『最後の、そして最初の人間』は、サイエンス・フィクションの頂点だ。恰もオリュンポスの丘から、ステープルドンは大気の頭上に立ち、20億の年月と18の人類種の過去と未来の眺望を見下ろしている。うきうきすると同時に恐ろしくもあるのだが、この本は後の世代の思想家達によって掘り下げられた様々な概念でいっぱいだ。ふたつ程挙げてみるならテラフォーミングや遺伝工学だ。人類の壮大なる栄枯盛衰や、我々自身の未来の純然たる異質性についてのステープルドンの理解は、クラーク、ベア、ベンフォード、イーガン、そして他の大勢の先駆けを為すものだ。ステープルドンはフューチャー・メイカーだった」 ———スティーブン・バクスター 「オラフ・ステープルドンは、我々の時代に於ける最も想像的な思想家のひとりだ。哲学とサイエンス ・フィクションに対する彼の影響は測り難い。若し君が究極に、思考と想像力のエヴェレストに魅力を感じているならば、『最後の、そして最初の人間』こそが正に君の追い求めるべき難関だ!」 ———グレッグ・ベア
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*1930年代以降の実際の世界の歴史は、彼の記述とは大きく異なっている。が、予言として当たっていないからと云って、この箇所の記述に価値がないと考えるのは間違っている。ゴランツ版(1999)の序言に於てグレゴリィ・ベンフォードは、最初の四章は跳ばして読むように勧めているが、これは実に短絡的な読み方だ。ヴェルヌやウェルズの様なタイプのSF作家とステープルドンが、その歴史的評価に於て大きく異なっているのはここである。彼は技術的な予想も近未来社会の構想も確かに描きはするが、その目的とするところは他でもない、現代(彼のいた時代にとっての)の人類の、社会の姿を適切に捉えることである。彼の時代に於ける人類の精神性を描いたものとしては、ステープルドンの描写は鋭く情感に溢れた分析に満ちている。 **サム・モスコウィッツは以下の諸作品からの影響を指摘している。 E.A.Poe,"Eureka"(1848) E.A.ポオ「ユリイカ」(『ポオ 詩と詩論』福永武彦他訳、創元推理文庫、1979所収) W.H.Hodgson,The House on the Borderland(1908) W.H.ホジスン『異次元を覗く家』(団精ニ(=荒俣宏)訳、早川文庫、1972) S.Fowler Wright,The Amphibians(1924)→The World Below(1929) S.ファウラー・ライト『世界SF全集5 時を克えて』(川村哲郎訳、早川書房、1969) J.B.S.Haldane,"Last Judgement: A Scientist’s Vision of the Future of Man," included in Possible Worlds and Other Essays (1927) 遠未来の世界を描いたものとして、更に以下の諸作品等も参照されたい。 H.G.Wells,Thime Machine(1895) 邦訳各種有 スティーブン・バクスター『タイム・シップ 上下巻』(中原尚哉訳、ハヤカワ文庫、1998) ブライアン・ステイブルフォード&デビッド・ラングフォード『2000年から3000年まで-31世紀からふり返る未来の歴史』(中山茂他訳、パーソナルメディア、1987) ドゥーガル・ディクソン『マンアフターマン』(城田安幸訳、太田出版、1993) |
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