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 出会った二人の共謀者達が言った。「王が血を流してその玉座の上にしなだれ掛かる時、我等が広大なる全渓谷は自由となるのだ。彼の甥は亡くなり、我等はあらゆる地方で新しい徴税人を指名するのだ」そして彼等は口に出して言われた或る言葉の為に死ぬやも知れぬので、各々相手の手を握った。「我等は国の中程に我等が慈愛の黄金都市を築くが、其処では山の民達が、脱穀人達が、何であろうと海が手放すことを選んだものを捕らえる者達が見られることだろう。其の地より我等の寛大なる血統が支配し、飢えの日々を思い出すものはひとりとしていなくなるのだ。穀物倉は黄金の収穫物で満ち、我等が即位式には黒を着る者はひとりとしていない。他の国々は我等が遣り方を謙虚に仰ごうとする大使連を送り、我等はと云えば、ひとたび王が死ねば、人は猿共より截然と区別され、地は或る新しきもの 、、、、 を知ることになるのだ」

   彼等は頷き、以前はトロイの名で知られ、後にシカゴと呼ばれた星の光にかけて再び誓った。



1939年春


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