無窮の双眸へ



 ステープルドンの『スターメイカー』の影響が明らかな幻想掌編。物理学、宇宙論、幾何学、哲学等から得た様々なイメージや観念が呆れる程呆気無く野方図に展開する。こうしたものは長篇のクライマックスにでも持って来ればいいのに勿体無いと私(川流)は思うのだが、どうやら黒森にはこのアイディアを物語で「薄めて」膨らませる気はさらさら無い様で、この辺の余りの欲の無さが、良くも悪くも黒森の作品群の大きな特色となっていると言えるだろう。

 尚、ここに紹介するのは第1回創元SF短編賞(2010年)落選作品で、応募規定に合わせて加筆・修正した改訂版である。



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