『水の生成』によるスケッチ



 黒森は屡々音楽、特に現代音楽から様々な着想を得ることがあるそうで、それを小説中で活用することも多いとか。当人の言に拠れば、彼の小説は、少なくともその一部は、「現代音楽が覗き見ることを可能にした深みに、言語によって到達しようとする試み」であり、或いは「文章それ自体を音楽に近付けようとする試み」、乃至「音符の代わりに言葉を用いた音楽」であると云う。

 ここに紹介するのは、遠藤雅夫作曲による『水の生成——7奏者のための』(1989)から自由に抽象的な連想を展開したもので、小説の形にまでは発展していない習作である。その名の通り、音の風景を「スケッチ」したもので、最後は音楽に合わせて些か大人し目になってしまったとのこと。

 黒森はNHK-FMの『現代の音楽』で放送されたものをテープに録音していた様だが、CDは、私も探してはみたのだが出ていない様だった。代わりに同氏の室内楽選集を紹介しておく。


作曲家 遠藤雅夫 公式サイト
『水の生成——7奏者のための』




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