『翡翠の飾り物』より「薔薇の園」
(The Rose Garden)



 耽美的な危うさと同時に不思議に安定した幻視の風景が描かれた佳品。乙女と薔薇の園、と云う如何にもなモチーフの組み合わせはマッケンとしては珍しい。現実否定、現在否定の暗い歓びが通奏低音として流れているが、他の多くの作品とは違い、熱っぽく荒々しい形式はここでは飛切り甘いオブラートに包まれているのが特徴である。

 尚、以下の新訳も出ている。
 『白魔』 (南條竹則訳、光文社文庫、2009)


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