『翡翠の飾り物』より「華典」
(Celemony)



 少女が森の中で秘儀を行ったり、そこで異形のものと交歓したりすると云うテーマは、 「白い人達」を始めとしてマッケン作品には印象的なテーマであるが、本作もまた淡い恐怖と陶酔が混在した危うい美の光景が繰り広げられる傑作である。白い粘液の様な透明さを湛えた儚さを堪能せられたい。

 尚、この作品に関しては既に以下の邦訳があるのだが、現在では既に入手困難であり、また比べてみるとやはり黒森訳と吉野訳とでは微妙に雰囲気が違う為、敢えてここに掲載した(折角ある原稿をうっちゃらかしておくのも勿体無いことでもあるし)。
 『筋肉男のハロウィーン 13の恐怖とエロスの物語2』(吉野美恵子訳、文春文庫、1996)

 追記:この後以下の新訳も出た。
 『白魔』 (南條竹則訳、光文社文庫、2009)


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