1728.
 幾ら群れ集って数の力で次々と無理を通して道理を破壊しようとも、彼等は所詮塵芥だ。たった一人で自分の足で大地を踏み締めて立つだけの強さが無い。一度風向きが変われば呆気無い程あっさりと吹き飛ばされて、結局は歴史の軽侮と嘲笑を買うことだろう。だがその前にどれだけの傍迷惑な手土産を山を積んで持って来ることか………。


1729.
 迷子に成る愉しみの無い旅の、何と詰まらないことか。寄り道を欠いた散歩の、何と云う時間の浪費か。予期せぬものに出逢う悦び無くして、果たして人生など生きるに値するものだろうか。


1730.
 外野を満足させられる様な人間は居ない。満足したと思い込むのは、満足していない部分を足蹴にした結果に過ぎない。我々は絶えざる不平と不満の声に野次られ乍ら、それでも行動するしか無いのだ。


1731.
 言葉が私を閉じ込める。言葉が私の可能性を削ぎ落とす。言葉が私に世界を裏切らせる。違う、世界はそんなものではないと、私は知っている筈ではないのか? 何故ここまで幼稚な大虐殺の愚行を重ね乍ら、何時までも未練がましく私は言葉を紡ごうとするのか?


1732.
 権威が動揺を続ける時代の権威主義者達は惨めだ。自分達が迫害し、貶め、けなし、罵倒し、嘲弄し、支配し、抑圧し、搾取し、足蹴にし、義憤を滾らせ、正義の鉄槌を下し、排斥する為の他者、自分より劣っていることが明白であると感じられる弱者を絶えず探し回り、必要とし、求める一方で、片時たりとも心安らぐことが無い。不愉快な他者の手応えが常に手許に無ければ、自分と云うものが何処にも感じられず、自立出来ないのだ。中毒者と同じで、それが無ければ現状で抱えている対象の無い欲望のマグマの圧力に耐えられないのだが、対象が手に入れば手に入ったで、際限の無い精神的衰退と知的堕落、そして更に悪化して我が身を苛む泥沼の欲望に蝕まれることになる。惨めなだけなら結構だが、こうした連中は社会を分断し続けないと生きて行けないので、身近に存在しているだけで傍迷惑この上無い。


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