1405.
独りであるのはいい。だが、一人 (、、 )であるのは御免被りたい。


1406.
規模の大小は、民主主義的な世界を破壊する真因たり得るだろうか? 勿論だ。特にそれが経済や軍事上での力の大小と密接に関わっている限りは、その内部に於ては(少なくとも建前上は)民主主義によって貫かれている単位が、全体としては極めて非民主的な振舞いをすることがよくあるが、制度上最低限保証されるべきなのが、個々の選挙民の間での投票権の平等ではあっても、それらの帰属する単位同士の平等ではないからだ。大き過ぎる単位は、対外的には排他的で独善的な特権階級たり得る。そうした力の論理に頼った傲慢な発想は極めて容易に、その単位内部での平等の発想を侵蝕して行くことが出来る。意図的な扇動者の存在を仮に無視して良いとするならば、そうしたあさましい権力闘争は人が集団として機能する際に抜き難く存在するひとつの本性の様なものである。であるからこそ、格差と云うものはあらゆる民主主義にとって憎むべき敵なのだ。内政的にも非民主主義的な単位に至っては言うまでもない。


1407.
子:自分が一定の規範に則って一定の生活水準を維持していることを世間に誇示する為の顕示的財の一種。または、自分が無計画な逸脱者であることを世間に暴露するローンの一種。


1408.
休息:労働者が抱える負債の一種。


1409.
退屈を強いる環境が、私を退屈する地上の生き物にする。それだけならまだいい、多忙もまた私を退屈する地上の生き物にする。が、強制された退屈は、私に盲目と沈黙をも強要する。それは我慢ならない。


1410.
目覚めても悪夢が、しかもより低俗で軽佻浮薄な終わりの見えない悪夢が再開されるのだとしたら、眠りを終わらせることに何の意義があるのだろう。
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