1021.
花壇:見目美しい花々を監禁・拘束し、人間の慰み物として供する為の場所。


1022.
自分が信奉しているもの/ことを、別の観点から貶すことの出来ない者は全て、狂信者と呼ばれて良い。


1023.
或る学問を学ぶとして、その観点から一切を説明しようとすること、仮令直接的乃至間接的に一元論に陥る危険を冒さなくてはならないにせよ、妥当と思われる全ての現象をそこから救い尽くそうとすること。それだけの野心が無くては、一体何かを学んだとしても何の価値があろう。その先に待ち受けているのが世界を呑み尽くそうとする蛇共の闘争であるとしても、それこそが正に形ある知を求める者の必然的に行き着く先ではないのか?


1024.
若し今正に死に臨むと云う時になって、世界に見放された、と云う感覚を味わいたくないならば、「説明」したり「理論付け」たりすることなぞには関わり合わずに、「現象を救う」ことにのみ血道を上げるが良いのだ。世界を救うことによって救われるのは君自身だ。


1025.
どう仕様も無く分裂させれらて在ること。分断の齎す絶えざる疎隔の危機を耐え抜くこと。それでも謙虚に世界の在るが儘の姿に耳を傾け、その矛盾や葛藤も含めて素直に従うこと。


1026.
若し私がアステアかニジンスキーの様な肉体を持っていたとしたら、書くなどと云うこの労多くして報いの少ない試みに手を出すなどと云う真似はしなかったかも知れない。だが私がアステアでもニジンスキーでもない以上、私に残されているのはこの手だけだ。どんなに悪筆であっても、字は字であることには変わりは無いのだから。


1027.
駅前に立て掛けられた「○○家式場」の案内看板、葬式だか結婚式だか判りはしない。だが、どちらであろうとまぁ同じ様なものだ。一方は自分達が閉じ込められている狭苦しい牢獄に新しい犠牲者が又一人放り込まれたことを慶び、そいつが世に不平不満を(かこ )つ絶好の口実を見い出したことを嫉む。又一方は、自分達が閉じ込められている牢獄から又一人不愉快な奴が消えてくれたことを慶び、そいつが自分一人だけさっさとその牢獄からオサラバしてしまったことを嫉む。何れも自分達より自由で幸福な者の存在を許せない者達の陰険な集まりだ。
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