0933.
何事にせよ、仮令それが自分自身の人生に対してであろうと、責任を負う位なら、砂の中に頭を突っ込んでいた方がましだ。


0934.
頭のおかしくなる様な暑さだ。いや、既におかしくなってしまっているのか。


0935.
行き先、見るべきもの、すべきことが全て予めお膳立てされているパック旅行に参加する位なら、揃えのいい図書館に一日中籠っている方がどれだけ有益なことか。


0936.
白痴めいた怒りによってしか、自らの愚昧に対する執着を表現する術を知らぬ輩共………だが、私とて似た様なものではないか。だからそのことで更にカッカするの止せ。静かに、落ち着いて、粘り強く議論を、対話を試みるのだ。


0937.
どうも私はケンカっ早くていけない。だが実際、世の中バカな連中が多過ぎるのだ———私自身も含めて。


0938.
生まれてから一遍も鏡の裏側を覗いてみたことが無い様な連中———正直、時にはそんな連中のことが羨ましい。さもなくば、ホウキとチリトリで以てサッサと片付けてしまいたくなる。


0939.
「酔っ払った人間」と云う言葉は語義矛盾である、酔っ払った人の形をした物体、それは最早人間と呼べる代物ではない。それは動物ですらなく、寧ろ(ケダモノ )である。


0940.
ことなかれ主義は処世術のひとつどころではなく、ひとつの立派な暴力たり得る。正不正、事の理非よりも他人に面倒を懸けないこと、他人からの余計な注目を集めないことを重視するのが我慢出来ない人間にとって、そうした原則によって成り立っている組織や団体が根本的に肌に合わないのは当然のことだ。ところが世間様では長いものに巻かれる様になることを「オトナになる」などと呼んだりするのである。
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