0808.
煙草の吸い殻:主に先進諸国都市部の路上に発生する蛆の一種。但し成長して蠅になったりはせず、有害物質を垂れ流したり、火事を引き起こしたりする過程を経た後、分解するか、或いは金を受け取った死骸引取人に回収される。


809. また過度の一般化とカテゴリーミステイクにどっぷり首まで漬かった人間を見掛けた。あんな連中とは出来れば一生関わり合いたくはないものであるが、民主主義下ではあんな阿呆共の意見もいちいち聞いてやらなくてはならない。皮肉か溜息のひとつ位思わず出て来ようと云うものである。


0810.
言論に対し暴力で応じようとする個人にも国家にも、現代文明社会の一員たる資格は無い。暴力に対し暴力以外の選択肢が残されているのにそれを選択しない場合も同断であるが、殆どの場合、この「別の選択肢」と云うものは、一般に思い込まされているものよりずっと多く存在しているものなのである。


0811.
急に高邁な思想も気高い幻想も、理性の自己忠実も想像の知的誠実も、何もかも放り出して自分の貝殻の中に閉じ籠りたくなる時と云うのは、眠る以外に何をしても無駄だ。一切の行為が無意味な悪足掻きと化し、私の無能と怠惰が絶え間無く責め立てられれば、惨めな思いで呆然と事態を傍観し、能動的であることを停止する以外に何も出来ることは無くなる。何処で間違えたかこんな不完全過ぎる世界に放り込まれたことに対して愚痴を並べ立て、弱々しい呪詛の言葉をずらずら連ねてみたとしても、それは単なる未練がましい引き延ばしにしか過ぎない。諦めろ。抗っても無駄だ。このどう仕様も無い挫折は君の手には負えないのだ。


0812.
はっきり言ってしまうと、私は生身の人間なぞには興味が無い。もう少し解り易く言えば、抽象度の設定が低いレベルでの「人間」、つまり、我々が生来的に持ち発達させる認知機構と云う以上に、学習と訓練によって獲得されるものとしての認識によって据えられたのではない「人間」、普遍化・一般化と云うことを通常意識すること無くしても取り扱うことの出来る「人間」、そうしたものには関心が無いと云うことだ。流れの中に盲目的に埋め込まれているだけで、目の前のものから脱しようともしない人生など、生きられるに値しないではないか?
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