0711.
全体性への志向を諦めてはいけない(尤も、止めようと思って止められる様な性質のものでもないが。肝腎なのはそれを出来るだけ自覚的なものにしておくと云うことである)。だが、事諸々の欲望に対して適切な分業体勢を確保しておくのは悪いことではない。私は全体を全て背負える程度量が大きい訳でもないので、コンテクストに応じて柔軟に変容し得る適応性が無ければ、その内自分では気付かない儘もっと大きな罠に水面下で捕われてしまうことになる。


0712.
私は商品として自らを規定したいとは全く思わないし、自分に付けられた値段に自らの心の拠り所を見い出す様なこともしたくない。地球そのものを売り物と考える様な連中に至っては一体どうやったらそんな風に考えられるものか見当も付かないし、また理解したいとさえ思わない。だが、嫌悪と怒りの拳を上げる前に、世の中には出来ることと出来ないこととがあると云うことをしっかり思い出してみることだ。出来ることはやればいいが、出来ないことに関してはやるだけ無駄である。消極的な道を採ったとしても何等非難される謂れは無い。その代わり、怒るべき時には遠慮をしてはいけない。阿呆は阿呆と言ってやる方が後々の為である。


0713.
自分に対してして欲しいと思うことを、相手に対して為せ、即ち、互恵共栄と云う関係の中に相手を引き摺り込め。だが、この命法を適用すべきコンテクストを決定する際には常に気を遣え。相手は君とそう変わらない知能と情熱とを持った人間ではあるが、所詮は他人なのだ。君と相手との関係が非対称的である場合を考えねばならないのは勿論だが、相手と世界との切り結び方は君と世界との切り結び方とは異なっていることを自覚せよ。そして、幸福と云うものは屡々、一義的には決まらないと云うことも。


0714.
扉の向こうに広がる光景が素晴らしいのであって、扉自体が素晴らしいのではない。扉は必要かも知れないが、それ自体が最終目標なのではない。このことを勘違いしている人間が何と多いことか。


0715.
銃:1)病的な恐怖心を抱えた者、又は、職業として金に己の命を売り渡した者が、他人に自分を殺害して貰う確率を上げる為に携行する呪具の一種。
 2)毛無し猿が狩りの際に用いる介護補助器具の一種。


0716.
国語:近代国家の政府が国民を洗脳・統治する為の手段として用いる言語。また、その思想・言説。


0717.
食糧援助:国家予算の一部又は善意の寄付と称される民間の資金を、定期的に、過剰生産を行った穀物業者等への支払いに充てること。
inserted by FC2 system