0545.
現在出現している第四帝国 (ザ・フォース・ライヒ )は、これまでに存在したどんな帝国よりも巨大で、強力で、傲慢で、狡猾で、人心を操るのが巧みで、残酷で、無情で、傍迷惑だ。そのうち本当にハイル・マネーとでも叫び出すんじゃなかろうか。


0546.
世の博打打ち共に、トービン税などと云う代物は競争に敗れた弱者のルサンチマンから生まれたものに過ぎない、と正面から罵倒して来るだけの度胸があるだろうか。いや連中がそれだけ正々堂々と(連中自身の内面も含めて)しているならば、そもそも事態はこれ程までに悪化しなかっただろう。その癖最も要領のいい者が一番沢山手に入れる、と云う実に短絡的な発想が連中を支配している。それは余りに当たり前のことなので、当人達の意識には別の選択肢があるなどとは思いも寄らない。そんな連中に支配される者の方はたまったものではない。


0547.
惑わされるな、目の前の世界は扉に過ぎぬ。通路は君の心の中にある。出口は再び世界へと通じている。万有が奏でる旋律と和音とリズムに耳を澄ませ、あらゆるものが参加する仮面劇に参加せよ。


0548.
必要以上に、無用な罪悪感に悩まされるな。君が不完全なのは君の責ではない。忘れるな、君は極くちっぽけな取るに足らぬ存在なのだ。


0549.
一体どの楽器を使えば最も上手く演奏出来るのだろう。最も失望することが少なく、最も顧みて苦々しい思いを味わうことが少なく、最も理想と現実との余りのギャップにうなされることが少なく演奏出来るのだろう。………何も無いのだ。楽しく囀れればそれでいいと云う発想を私は出来ない。下手な演奏に満足などない。練習すれば上達すると云う考えにも限界がある。一定限度を超えて上達する可能性は極く僅かだし、私にはその可能性は閉ざされている。また更に或る点まで行ってしまうと、後はもう曲自体を変えてしまうしか、或いは全く細かな差異を競うかどちらかしかなくなる。どのみち息詰まるのは最初から目に見えているのだ。だが歌わずにはいられない。激しく嫌悪しつつも日々新たな歌を口ずさんでしまう。何と厄介で腹立たしいことだろうか。


0550.
一番肝心の深い所にある真相は、何時だって口に出すことが出来ないものだ。私とて、そのことに関しては例外でなはい。一度口にしたら死んでしまう言葉、そうしたものは確かに存在するのだ。
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