0527.
人間の顔が少しはまともに見えて来るのは、白髪が生えて来る様な年頃になってからだ。それまではとても見られたものではない。
0528.
顕示的消費の為の性衝動———そんなものに払ってやる金など鐚一文も無い。
その中を歩いている内に、自分達が一日毎に人間社会と地球環境とを破壊し、歪めているのだと云う事実を忘れてしまい、どうでもよくなる………この地上に於ける言うなれば「勝ち組」の街とは、所謂そう云う場所のことだ。そこでは人は愛することをではなく、貪欲に消費することのみを教えられる。
0529.
退屈を描いた文学や映画は、概して極めて退屈なものだ。余程の暇人達が作ったのであろう。
0530.
「自然権」の基礎付け………さて、誰がこれをやるべきだろうか。法学者か、哲学者か、それともそもそもそんなことをすべきなのだろうか。この場合、実践理性は何とも無力だ。いっそお手上げしてしまおうか。
0531.
肉体が腐ってゆく感覚に毎日付き合わされるのは堪ったものではない。
0532.
嫌悪と、そこから生じる憂鬱とが、日々私の思考を限定する。これでは、人の一人も殺したくなったところで無理からぬことではなかろうか。
0533.
最大公約数的な世界に生きている者は、その値を出来るだけ大きくする義務を負っている。だがそれは同時に、分母も出来るだけ大きくせねばらなないと云う義務と抱き合せである。
0534.
洗脳と、教育や文化環境との違いは、仕掛ける方の身の隠し方の上手さ加減にある。また、唯物史観と云うものは無意識と同じで、誰かが剔抉するまでは誰もその構造に気付かず、自分は全くそうしたものから自由だと思い込んでいるものである。