0245.
メートル原器を測り直す、原子時計を測り直す———どんなに鈍感な理系バカの類いにでも、この世界の無常について感じ取り得る瞬間があるとすればこうした時だろう。我々の生活を日々糺し、参照させ、調整してゆく為の最も基本的な概念である時間と空間*と云うものが、それ自身絶えざる調整を必要とする恣意的な仮初のものに過ぎないと知ること———これ程身の毛もよだつ様なことはそうそうあるものではない。

*「時空」ではない!


0246.
未来の個人の話なんかはどうでもいい。私がくたばった後に生まれて来る有象無象の私生活なんぞ、私に一体何の関係があると云うのだろうか! 連中は連中で好きにすればいいだけの話だ! だから問題とすべきなのは、この人類と云う今のところ比類なき存在———この大いなる生命と知性と力の流れ———これ以外にはない。


0247.
エンドマーク:登場人物達が余計な馬脚を顕わさない内に幻想を幻想として完結させてしまう為の便利な道具。近年の映画がゴムの切れたパンツの様に締まりがない理由のひとつはこれの欠如である。


0248.
大衆とは要するに、「百合烏賊 (ユリイカ )? さぁ食ったことないなぁ。幾ら位するんだい?」と言う様な手合いのことだ。


0249.
真に重要な問いは幾つもある………が、それは我々がひとつしかない筈の究極の答えを知らないからだ。我々は皆象を撫でる群盲である。


0250.
面白い大河ドラマと云うものは、実際の歴史が如何につまらない、非-劇的なものであるかについてのまたとない証言である。*

*言うなればツッコミを待っているボケである。———川流補足
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