0151.
現代の先進国に於ては、音楽は美的観点からではなく効能の面から語られる。一例を挙げるならば、ミュージカル映画の傑作で山場に敗北を描いていないものがどれだけあるか思い起こしてみるがいい。


0152.
胃袋がいっぱいになれば、頭は鈍磨して胃袋が代わりに考え始める。だから頭が飢えてそれを満たす術がなくどうしようもなくなった時は、胃袋をいっぱいにすればよい。


0153.
私は女性差別主義者でもなければ男性差別主義者でもない。性差別主義者だ。


0154.
天皇制を廃止し、靖国を取り潰して「近代日本の愚行と自己暗示記念館」とし、自衛隊から破壊活動を可能にする一切の戦力を削除する………取り敢えずはこんなところから始めたらどうだろう。*

*無論、これらのこと全てを行うに際してその理由を内外にはっきり説明———その場凌ぎの言い訳ではなく———することが大前提だ。言明と言論とを伴わない一切の行動はこの場合不十分であるばかりでなく背信でさえある。


0155.
性的人間に対して我慢の成る時でも、性器的人間に対してはどうしても寛容にはなれない。堂々と野放しになってはいるが、連中は紛れもなくパラノイアだ。


0156.
不眠は苛つきと怨嗟を齎すだけで、哲学者は生み出さない。他の疾病に罹った者には考えることの出来る者もいようが、不眠者は感じることが———しかも否定的な面に於てのみ過剰に———出来るだけだ。


0157.
我々が先人を仰ぎ見て屡々無反省的に畏敬の念を抱いてしまうことがあるのは、恐らくは我々の日常そのものが絶えざる切り捨てによって成り立っているものであって、文字や映像や、或いは記憶によって伝えられる彼等の行動や業績に対して、自動的に都合のいい補完を行ってしまうことから来ている。
 尤も、更に愚かな連中が存在することを私は認めない訳ではない。書かれたもの、描かれたものを現実と、もう少し正確な言い方をするならば、選ばれたものを選ばれる以前のものと本気で取り違える様な連中がこの世にはウヨウヨしていると云う事実は不愉快なので、私が普段極力それを忘れようと努めているだけのことだ。だがこの種の切り捨てはそう上手くいった試しが余りない(様に感じられる)。
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