休まずに動き続ける惑星で
  静止を希う僕等の愚かさ



嘘吐きが正直者を嘘吐きと
  呼ぶ海に出て碇を上げよ



勝者しか目に入らない柵の中で
  何処までも人は残酷に成れる



朝起きて世界が破裂していない
  ことを確かめる訳も分からず



始めから在りはしなかった感情の
  真似をしてみる空っぽの私が



心から泣いたことなど有ったろうか
  大団円に眉を顰める



人界から少し離れて空を見て
  欺瞞の無い雲と流れる



十分に未だ人類に成っていない
  人々の群れの中で独り



獣が来る着飾って貪欲に
  忘却の民が提灯を持つ



一瞬の洩れた光を抱き締めて
  踵を返す巷へ独り



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