風が吹く鳥を乗せて雲を乗せて
  地べたで全身でその風を受ける



惨めさが日々惨めさが降り注ぐ
  今ここに在るしかない私に



永遠を夢見てエトナに登る朝
  剃り残したヒゲが気になる



底冷えのする口惜しさの空洞が
  私の内部を浸蝕して行く



何時かまた会う日も有ると言えるのは
  その日は来ないと知っているから



馴れ合った悍ましい夢の直中で
  身動き出来ない眠りが来ない



万物が息を殺して凝っと聴く
  晩夏が通り過ぎて行くのを



満ち足りて死と和解した無人境
  霧雲を陽が掻き分けて行く



枯れ草が文明を取り巻いている
  乾いた音で挽歌を奏でる



墓標も無く只朽ち果てて行くだけの
  道を振り返り何やら叫ぶ



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