未だ来ない秋の気配を待ち侘びて
  掌を切り裂いてみる悲鳴も上げずに



層雲の群れがどんどん逃げて行く
  東へ東へ夜明けを探して



掌に凝灰岩を転ばせば
  人類よりも古いメッセージ



天と地とおにぎりひとつ頬張って
  私は自由なひとつの魂



空に雲流れる私の憂鬱が
  沢の音に溶けて蝶と化して行く



シンプルな存在していることの感覚が
  夏の終わりを気懈く包む



とにかくだ行ける所まで来たのだから
  腰を下ろして空を眺めよう



何と云う空の遠さか唯遠く
  稜線を抱き締める私



廃墟から眺める気圧の床の下
  余りの卑小さに顔を(うず )める



ススキ越しに見える下界がやけに遠く
  私はここから下りられない



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