道をまた歩き殺して行く旅の
  ()だ終わらない延びる行き先



刈り払いされた斜面を這い登る
  明日の悪夢が追い掛けて来る



国道の真ン中に転がっている
  弾けた内臓に停まる車は無く



鶯と蝉に囲まれ沢の傍
  登れぬ山でも結構愉しい



悠然と流れる雲の下に居て
  私に不足するところ無し



唯深い静寂に勝る音楽は
  無い遠い空が何処までも遠い



沢の中に一心不乱に卵管を
  伸ばすトンボを見てゐる私



文明が切り拓く道の境にて
  一生懸命食べては飲んで



ゆっくりと崩壊して行く文明の
  墓標の如くに杉が貫く



道半ば道は途絶えて草繁く
 それでも私は大空を見る



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