自転車のペダルの重さが心地良い
  地上に生きてゐる純感覚



窓開けて霞の向こうを透視する
  人を殺す様な春を憎む



人間の残骸の群れが愉し気に
  阿鼻叫喚を繰り広げる午後



繋がりが解けて溶けてバラバラに
  なった世界を泳ぐ魂



意味論が意味を成さなくなる地平で
  この言葉には何の力が?



入り口に「初めての方はお断り」と
  書いてある城の前に立ち尽くす



理不尽が理不尽と成る瞬間を
  待望している僕等の拳



目を突いてほじり出された脳漿の
  断末魔に凝っと耳を傾ける



照り灼けた黒い墓石の供え物に
  燦々と春が滴り落ちる



目の玉をほじり出されて気付かない
  餓鬼達の通る街中を行く



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