水滴が穿つ砂浜の上に立ち
  無形の疲労を覚えつゝ歩く



抱き締めた肩に食い込む爪の痕
  胸を張って正面を見て



形骸と化した面を載せた儘
  肉だけが只街を歩いて行く



疵は一生癒えること無く終わりまで
  じくじく疼いて行くかの様で



抑圧の連鎖の生の中頃で
  私が途方に暮れて立ち尽くす



手を伸ばし生を掴んで引き寄せる
  ことを拒否する老いた子等の目



屈従に馴れた眼差しの怨念が
  じわり広がる春の(うらら )



粉雪が私の視界を曇らせる
  昨日の凍った笑顔の様に



引き裂かれ憎み合う元共犯者達
  秘めた眼差しを隠した儘で



偽善にも矜持が有ったかと問われれば
  返答に窮す新世紀の私



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