牙立てて今在る生にしがみつく
  私を殺せるのは何も無いのだ



血の贄は毎日まいにち捧げられて
  それでも凡庸に続く日常



捩れつつ隠された闇を吸い込んで
  途方に暮れて堪るかと誓う



(きず )が膿むじくじく痛んで叫び出す
  私をバラバラにしようと膨らむ



ぐったりと疲れた私を責める声が
  谺と成って私を満たす



どす黒い虹色の空を背景に
  不穏の朝に憂愁が映える



ぞっとして市民不在の真空の
  中に蠢く獣達を見る



叛逆もせずに殺されるのを待つ
  臣民達の恨みがましい目



巣の中で餌を待つだけの怒れる子等
  彼等の眠りの何と深いことか!



新雪を踏み砕いてその先に行く
  痛む背中の寂しさを置いて



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