ストックが無いと慌てることも無く
  忘却の魂は暢気だ



沈鬱の優しさの中でひたひたと
  鳴き声に背を向ける夕暮れ



リズム取る指先の下で裏返る
  世界を捲ってみる嘆き乍ら



常に反射する眼差しの後を追う
  私も息切れする時が有る



そこに在る我等の冬の寒風を
  共に忍ぼうと言う友も無く



立ち止まり振り返る時の恐ろしさ
  私を呑み込む濁流の前で



からくりの関節をひとつ外してみる
  憤怒の声を静かに叫ぶ



雪はまだ止まぬ様だねぬかるみを
  歩く足の背に水の塊



聴けよ君よ君を動かすその声を
  交叉した鏡のその裏の影を



美しく凍り広がる夜の空の
  星の少なさが私を狂わす



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