黄金の落日の中の影の影
  身に受けて立つ両手を挙げて



カタカタと陽気な音を響かせて
  ファッショの靴の音が鳴る明日も



彼等とも思いの他に遠かった
  今夜もぼっちで飯を食いつつ



足萎えた老婆の如き怨嗟もて
  夕食を摂る雑踏の中



死の後の静かな萎縮抱き締めて
  凡庸極まる遺骸を埋めに行く



真ッ白と言えぬシーツを伸ばす時
  昨日の澱が今だ滴る



生まれ落ち恨みがましく振り仰ぐ
  宇宙の中で叫び続ける



死産児を大量生産する工場
  僕等もやがてあの中へ入る



大量の屑の中から薔薇が咲く
  崩れて折れて腐った薔薇が



染みひとつ無い朝空が落ちて来る
  山の端から終末が覗く



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