沈黙に耐えられぬ子等の喚き声
  静かに一人扉を開ける



夕闇はまだ遠く在りひたひたと
  地獄へ向かう女郎屋の息子



懐かしい殺人鬼達の群れの中
  途方に暮れて文庫を読み耽る



赤い血がまだ流れている筈なのに
  萎びたゾンビの様な顔 顔



穴の開いた頭蓋骨の中に居て
  膝を抱えて息を殺す



ぐちゃぐちゃの水溜まりの上に雨ん坊
  殺したい位にスイスイ渡り



根茎を地下に潜って抉り出す
  赤黒い血の沁み亘る大地



もっそりと毛皮被って踞る
  幼い子等の放つ眼差し



夏はまだ終わっていないのだろうかと
  頭を出してみる八月の朝



主無き鬼の重なるピラミッド
  逃げたいと思うが足が動かない



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