美しい夜だと言って泣いた夜
  私の根っこが酷くやけに苦しい



暑気芽吹き小さな地獄ののどかさよ
  声持たぬ鬼等のパラダイス



遠のいた未来の風景の中に居て
  この惨状が信じられない



殴られて「馬鹿にするな」と顔を上げる
  「生意気だ」と更にまた殴られる



ゆっくりと愉しく死んで行くことが
  生きる目的と化した消費者



何物も生み出さぬ儘朽ちて行く
  何故か彼等は平気な顔で



反逆児何としてでも生き抜いて
  王の死を得るまで闘え



中指に爪の跡残る金曜日
  蹂躙された怒り忘れまじ



ロケットに赤錆びた夢が乗ってゐる
  誰の夢かももう忘れた儘



やがてまた雪は融けると思いつつも
  吹雪は一向に止む気配無く



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