騒がしい世界に背き引き蘢る
  独りと本の甘美な愉悦



我もまた孤児なりやと思ふ食事後
  誰も私を知る者無くて



赤信号行けど進めどそればかり
  流した花が静かに呑まれ



変容す窓の外には低層雲
  見てゐる私の眼差しひとつ



溜息で不意にブラウン運動を
  目にして暫し凝っと見入れる



切れ目より覗く青さの透き通る
  青さ見詰める私は独り



ぽつねんと石蹴ってみる河原にて
  続く多さの有限と無限



破滅するばかりが残る空間に
  呆然として我は佇む



慰謝求めさすらう足も疲れ果て
  猟奇妖しく我を誘う



怨嗟にも力を籠める余力無し
  平板な明日に転落は待つ



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