ハッと気付いて(おもて )をなぞる
  更新されたばかりの記憶
    もう手遅れと判っていても
      諦め切れぬ午後一時の狂気



静寂の滴り落ちる午下がり
  私の憂鬱は未だ完成せず



流れ行く不穏の空と風の下
  私はひとり回想もせず



夏来たる漂い来たる死の腐臭
  ものみな形を失って行く



静寂 (しじま )には悪夢のさばる余地有りて
  嗚呼哀しやな無知なる翼



撃ち抜いた物憂い空の向こう側
  凝っと見てゐる死者の閃光



届かない手に握り締む綺羅星の
  光誰かの目に映るやも



見捨てらる我等の上に夜が明けて
  未だ変わらぬ今日の日を暴く



さゝくれて昨日の傷がまだ痛む
  少し哀しい口笛を吹く



また疼く古い喪失に目を背け
  彼方見ようと振り返る私



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