杭立てゝ生き埋めにせし王の名は
  誰ぞ憶ゆる遠い夏の日



春雷の鈍く轟く傘の下
  青春の日は静かに朽ちて



濁り空遠い山端を切り裂いて
  憂鬱の日を黙して歩む



深更の廊下に独り我は居て
  無人の荒野を彷徨ってゐる



藻だらけの水面から顔を突き出して
  息をして存在を訴える



渦巻いて狂うのは誰の特権か
  問うてみる手に汗握り締め



一元化された屍体を足の下
  勝ち鬨挙げる子供やかまし



見開いた目の底に在る暗闇を
  覗き込んだら死が甦る



閉じ込めた想いひとひら風に舞い
  澱む私の頭を穿つ



道を行く退屈を見掛け立ち止まる
  捻れる午後の陽は眩しくて



inserted by FC2 system