くたびれて空を向く目も霞み勝ち
  ひたすら眠りたい忘れたい



稜線を削ぐが如くに差し込める
  朝焼けの中の星の没落



大空を駆ける夢想の哀しさよ
  私一人だけ取り残した儘



星霜を待ち侘びて尚オリオンは
  薄闇高く我を照らせり



殺しても砕いても尚生き残る
  巨大な虫の目輝いて



無地の上ペン走らせる我の手に
  希望は有りや今日を捲るや



黒濁す血の滴りて池溜り
  荒野の葦に風の音低く



生存と承認賭けた闘争の
  恐怖の中で今も独り切り



鱗雲背に空を往く渡り鳥
  啼き声ばかりが谺返せり



鬼の声聞いた私を試す如く
  老婆の瞳つと輝けり



inserted by FC2 system