凡俗に染まる街中唯一人
  頭抱えて耳塞ぎたし



角砂糖掌に載せて凝っと見る
  世界を繋ぐ綱を見てゐる



脅迫者今陋巷に偏在す
  命を懸けた日凌ぎ頻り



老醜を晒しても尚白粉を
  ぬたくる女鏡を覗く



皮ばかり剝いてみたれど一向に
  実の見えて来ぬ眼差しひとつ



紅玉の柱の陰に潜む影
  何を夢見て隠れて生きる



ぐったりと眠る寝床に星ひとつ
  日付の変わる拙き魔法



破れ掛けた胸引き裂いて慟哭を
  如何にせんとや道無き墓標



俯いて重いペダルを漕ぐ我の
  肩に雪片積もり行く朝



()()山の稜線削ぐ様に
  昏い陽光今日を照らせり



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