恐怖のみ残る僕等の日常に
 怒りを込めて穴を穿たん



海氷の上に燦めくアルデバラン
  独りの夜は深々と更け



山の端に聳ゆる不安いざ高く
  勝鬨の声を上げんと欲す



何よりも言葉の尽きること虚し
  恐れと共にペンを取る我



見よこゝに存在と成る前の我
  すっくと立てり声を叫べり



底流に仄かな微光見えれども
  尚薄暗し青春の春



花の吹雪見紛う程に冬は咲き
  我の無もまた乱舞せしめる



見た儘の地獄の中に我は居て
  既に知られた世界を歩く



輪廻する日々の直中深淵を
  覗く一瞬悲鳴と消えり



君はまだ生きてゐるやと思ふだに
  幻の顔夜空に浮かび



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