笑ひつゝ猫が見てゐる路地裏の
  陰に差し込む日未だ昏し



子供等が静かに死して行く公園
  どの大人にも気付かれぬ儘



昼下がり昨日の影が又笑ひ
  私の今日を蝕んで行く



何も手に付かぬ今日とて寝逃げする
  寝床の甘い針の筵よ



何うしたら良いのか判らぬ零時半
  空ろな頁を只捲り行く



何もかも素通りして行く青い日々
  刻むリズムは読経の如し



何故か又空ろに響く盆の音に
  寝床に入る暑い日の夜



何時迄も過ぎ行く雲を眺めつゝ
  我が倦怠は飽きず喰らへる



生きてゐる振りをしてゐる午前九時
  未だ醒め遣らぬ意識の牢獄



詠むほどに自立して行く言葉達
  私から生まれた見知らぬ他人



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