何をする気も起こらずに寝逃げする 日の余りにも暮れる遅さよ |
気絶して流るゝ川の愉しさよ 鷺の番いが見物してゐる |
誰も皆麗らかな春の日の下で 白痴に成りたいと思う午後二時 |
穏やかに静かに屍体は流れ行く 夢のあわいに微睡む儘に |
見よそれら地球の裏の果ての地の 未だ知られぬ惨劇ひとつ |
解放が溶け行く夏のうだるさよ 私を殺して村はうきうき |
然もあらん道端の隅の石ころに しがみ付く虫死して離れず |
何も未だ始まっていない午前零時 終わった世界の黄昏を夢見る |
重ね見る同じ頁の違う行 私の描いた別の台本 |
腹の底蟠る軛今も尚 私の視界を曇らせてゐる |