時間より生まれ出たる音楽の
  形まさぐる深夜の盲目



頬張った百三十円の快楽に
  アクセルを踏む力を込める



眩めいて眼窩の奥のその底に
  星々の束の熱く冷たく



揺らめいた枝の間に間に精霊の
  飛び交う森の暗く更け行く



抱き埋めた両腕の中むず痒く
  広がる空虚遙かに重く



一元化される恐怖に抗ひて
  我は立つらん今日こゝに在らん



俗務にて擦り切れし我の神経を
  宥めて欲しい一篇の曲



断片に細切れされた我が時間
  夢か現かあわく成り行く



花開き精が滴り蜜と成る
  陶酔夢想の甘きひととき



寝疲れぬ夜の静寂にひっそりと
  流すブルッフ空ろに響き



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