自転車を買いに行く日の午後の風 私は何処へ行きたいのだろう |
欠落す風景の中で我はまた 何が欠落するかを忘れ |
悍ましきばかりの河原夢幻境 春の地獄はうらら美はし |
窒息す私の中の私が 窓を求めて轟き叫ぶ |
大洋の園に広がる波のうねり 救済は未だ訪れずとも |
皇帝の追放さるゝ荒野にて 独り佇む虚人の私 |
吹き荒れて春の嵐は当然の 如くに狂ひ惑ひつ逃げる |
雨上がり打ち棄てられた本棚に 凝っと貴方は何を見てゐる |
恐怖にも色々有るさと自らを 慰める夜独り更け行く |
今日はまだ死んではゐないと確認し 目を覚ますのは一体誰か |