余りにも近過ぎる今日鬱陶し
  ひたすらに只極く鬱陶し



我等にも何の因縁有りやとて
  斯くも淫らに下らないのか



白鷺の忍び歩きを注視しつ
  眼差しの狩り我も行ふ



一列に worm と成れる渡り鳥
  波の如くに遠く遥かに



恐怖の彼方に目玉が覗き
  大いなる虚無姿を現す
    一切は空に帰せにしものを
      まだしこりたる形がひとつ
        黙せる絶叫静かに響き
          私の輪郭溶かして悦す
            しん しん しん しん
              日が沈む
                夜の支配が力を伸ばす



内破する風景の中に佇んで
  壊れ行くあの地平を見詰める



川面より発つ青鷺の優雅なる
  我も一緒に橋を超へたり



燃え立つるつくしヶ原の海の上
  遊ぶ鶇の何ぞ無心と



雲海に響けり雉の鬨の声
  春の不穏はそこまで近く



何がなし空を切り裂く轟音の
  跡を追ひたり風強く吹く



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