ひっそりと私の生は崩れ落つ
  落ち葉すら無き雑草の山



惚けつゝ会計を待つ数十分
  静かに朽ちて行く待合室



我も又弱者の一人なりしとか
  知ってか知らずか私は独り



諸条件揃えてみても未だ足りぬ
  人の世の気は浮き風のごと



遮断して初めて判る陰翳に
  目を細めつゝ私と猫と



バッハ聴く聴き乍ら遠野物語
  読みつゝ夜は更けて行く也



調性を幾つも変えて顧みし
  過去の幻今は何処に



我も又今日のこの日を生きたいと
  希う日も有希う日も有



知らざるに何時しか日付変わりたり
  こうしてこの儘何の夢見るや



細部には神は宿らねど思ひつゝ
  悪魔は確かに宿りたる也



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