新しくまだ見てゐるかあの悪夢 　　何時いつまでも若くしなやか

混乱し創発性の高い儘 　　宙ぶらりんの私の頭脳

見てみるか同じ時代の人々の 　　悪足掻きする一幕喜劇

希望ならその辺の何処か道端に 　　大空に雲に広がってゐる！

悍ましく肌に粟 (あわえ )の立つる儘 　　私は詠まるゝ国を見遣るゝ

さぁ聞けや風車の回るあの音を 　　まだ生きてゐると云う証を

ひゞ割るゝ爪を押し上げ来るやうに 　　割るゝさゝくれ凝っと覗けり

今日も又踊る我等の何たる無能 　　パズルのモナリザ見上げて惚ける

垂れ流さるテレビの音に打たれつゝ 　　診察を待つ陽の強い午後

狂気なら此処にも在るぞと呼ばわりつ 　　凝っと黙って歌を詠む我