寒雪のびたびたと喰ふ割れ土の
  下に確かに春への芽吹き



白光を眩しと思う我の目の
  中に濁りの見えたるや今日



澄み切った絶望の中で私は只
  静かにひとり笑ってゐる



何をかや言はむと欲す我が心
  明日の夢に耳傾けて



遠く成る今日の記憶にさよならを
  告げて毛布を捲れる読後



我はまだ生きてゐるかと問うてみる
  悲鳴を上げる声は有るかと



「貴方にも解って貰えたら良いのに」
  そう思ひつゝ私は笑ふ



打ち濡れるコンクリートの眼前に
  散らばる種等どうか育てよ



何時になくやさしい気持ちに成る時
  まだ私には毀れた破裂



お願いだお願いだからと言ってみる
  縺れる舌で先ず言ってみる



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