俗物が群成す穢れの巷にて
  軽蔑と共に本を手にする



軽々と生の境界越えて行く
  翼はためく帰り道の夜



パンを頬張る川沿いの道
  ベテルギウスを見上げて歩く
    黄色い月はまだ雲の中
      夢見る惨劇は谺も返さず



置き場所の無い魂を引き摺って
  今日も私は何処かへ歩く



シベリアへ向かう一団を見送りつ
  何処へも行けぬ春の地べたに



青醒めた私の額に滲む汗
  霊気と成って闇へと消え行く



繰り返し自画像ばかり描いてゐる
  正視能はぬ醜き私



目が覚めて続きが有るのだと気が付いて
  愕然とする
  泣きそうになる



ずるずると崩れ落ち行く日常に
  何も出来ないことが口惜しい



揺さぶられ分解された頭には
  血の結晶がきらり輝き



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