飯の上不意に泣きたくなって今朝
  湯気と一緒に蒸発しよう



何もかも棄てて行きたい星空へ
  切符無い儘上を見上げる



新雪の夜に埋もれる愉しさよ
  何にもかもが白く静止し



流されて打ち上げられた岸の果て
  見ゆる憤怒の凍り付いた顔



ひたひたと崩れ朽ち行く高架下
  私の前の真っ直ぐな道



凍えつゝ氷雨の中を急ぎ行く
  後ろの空洞には目を遣らず



熟れもせで後はひたすら腐るばかり
  でろでろに溶けて何も残らず



夜の日に地平線は映ってゐるか
  昼の目に赤い夢は見られてゐるか
    黄昏にひと握りの星は瞬いてゐるか



読み返し遠くなりにし何日か
  前の私の喪に服せしむ



存在の一部が言葉と成って又
  私のことを見返して来る………



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