「他人」など存在しない黙示録 「他人」ばかりの新エルサレム |
何処までも遠い貴女の指の先 放したら最後と解っているのに |
みじめさにぞっと背筋の凍り付く 食事の前のふとした空白 |
目玉剝き苦痛を洩らす顔ひとつ 鏡の中に閉じ込められて |
一瞬に顔を覗かす深淵に 沈黙以外の何が語れよう |
霊山の麓に広がる絞首台 誰の血によるパンとサーカス |
燃え落ちた私の焦がれ足許に 残骸ばかりが転がってゐる |
不可解な恣意の暴虐耐え難ねて 星を見上げて息吐く私 |
さやさやと帳の陰に聞く声は 昨日忘れた死産児の声 |
うっとりと忘却の中に赦される 私の欺瞞に誰が気が付く |