目の前が暗くなるとはこのことと
  謂ふのかとふと気付く午後九時



凝っとして息を潜めて気配消し
  私は透明ですよと叫ぶ



何故となく体震えて来る夜に
  噴水の空ろさに泣けて来る



お願いをしても私は水の中
  真ッ暗な中を藻掻いて沈む



うらぶれて足を引き摺り行く我の
  上に太陽は輝き 憎し



朝が来て夕べの君の錯乱を
  思ひ返しつゝいとものがなし



混乱した断片の寄せ集め
  未成熟で未完成な余り物
    醜怪で低俗な愚鈍者
      それが私 惨めなるこの私



ハッとして私の中を振り返る
  腹の中から奇怪な産声



悍ましき霞む夜闇の灯に溶けて
  不具と成りにし我の足音



内臓を抉り取られた惨めさに
  胸がつかえて息も出来ない



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