私だけ見渡す限り何処迄も
  誰にも遭わぬ鏡の地平



日々をまた地獄と思ひ日を閉じる
  墜ちた私の羽力無く



狡猾に夢見続ける目が欲しい
  嘘吐き通せる口が欲しい



ゾッとして直ぐ引っ込めた指先に
  じわりと残る悲惨の柔肌



店先に並べられたる生首に
  値段を付けてゐる女の子



閃光に失くした筈のものが見え
  雨の荒野で途方に暮れて



ねじれ込む夜の路上の空間に
  失はれた闇が独り雄叫ぶ



アナタにも聞こえるだろうかこの歌は
  耳を澄ませば風がどよめき



()まず()の私貴方と二人切り
  見詰め合って何と語ろう



許してと請う眼差しのその実は
  彼方を見たり(くう )に向かってゐたり



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