眠れずに枕抱き締め夢を見る 不穏の海の匂い焦がるゝ |
隅っこに掃き詰められて膝抱え 言葉失う二歩位手前 |
溜息を吐いて貴女は美しく 散って砕けて無残に萎れ |
ごっそりと抜け落ちた歯の数数へ 鵜呑みの消化の悪さを呪う |
さやさやとかそけく毒の花は揺れ 私の未だ死なぬを囁く |
拳もて何に怒りを 何に嘆きを訴うべきか |
言葉なぞ無力とは誰も言はねども 誰も何んにも言わぬ儘過ぎ |
「世」に出ては無力無能の我なれば 机上の夢の何ぞ遠からむ |
何時までも遠い空ばかり見続けて かなしい顔をしている私 |
明日もまた今日を繰り返す異邦人 何にも成らず何でもあらず |