近くては 嘘
  遠ければ 寂し
    居なければ 宇宙
      然れど我 途方に暮れて



不愉快なことのみ多し人の世は



瓶の底見上げて夜を待ち望む
  忘れた空が思い出せない



声に出してやっと出て来た溜息に
  重なる明日に「もうウンザリだ」



いい加減抜け出したいと思へども
  続く毎日長々と伸び



俯いて()んでもない人の生を送る
  ドブ川の中を流れて朽ちる



傍らを通り過ぎる昼眺めつゝ
  生活の塵を掃く気にもなれず



昼明けて(ぶよ )のカーテン尚厚く
  監獄の飯に食欲も湧かず



現にまだ私は箱の中に居て
  窒息するのを只待ってゐる



復せしむエデンの園にぽつねんと
  立ち尽くしてゐるオメガの私



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